ゲーム(Satisfactory)で改善の練習をしてみる
アドベントカレンダーのネタにするためにゲームを使って改善の練習をしたのでまとめ。
対象のゲーム
現在ハマっているSatisfactoryというオープンワールドの一人称視点工場建設ゲーム。
以下、Satisfactoryについて箇条書きで紹介(文章にできなかった)。
- プレイヤーは、とある惑星に派遣された主人公となり、採掘した鉱石を加工しアイテムや設備を整え、惑星を開拓するのが目的
- 設定されたマイルストーン(クエストのようなもの)をクリアすることで、採掘できる鉱石や、加工できるアイテム、設備が増える
- マイルストーンはいくつかのティアに分かれており、アンロックするためには指定されたアイテムを納品する必要がある
- 現時点でティアは8段階まで。最終段階のアイテムを作るためにはめっちゃ沢山の鉱石、アイテムが必要で、生産ラインも超複雑になる
- この生産ラインを作るところがハマりポイントで、Youtubeでは様々な動画が上がっている
- 詳しいことはSatisfactory日本語 Wikiを見るのが良い
- 作成会社はヤギシミュレーターで有名なCoffee Stain Studios
- ゲームは2019年に早期アクセス版としてリリースされ、今(2022/11/20)でも早期アクセス版のまま開発が進んでいる
- Windows版はSteam:Satisfactoryで購入することができる。値段は3180円。たまにセールで安くなることがあるのでそれを待ってみるのもいいかも
改善のお手本
改善と聞くと原田 騎郎(Harada Kiro)氏の顔が思い浮かぶのは私だけではないはずだ。原田氏の資料を探したところ、改善の3つの顔 | Attractor Incが見つかった。
この資料によると、改善には以下の3つの流れがあるらしい。これに沿って現状を改善してみることにする。
- 漏れを止める
- 流れをよどみなく
- 新しい流れをつくる
やったこと
結論から言うと、最初の「漏れを止める」で時間切れとなった。ので、その部分のみ記載する。
漏れを止める
この「漏れを止める」とはどういうことか? 資料の8ページには以下のようにある。
- 流れが価値を生んでいるかを確かめる
- スピードを落とす / 止まる
- プロセスがどう動いているかを観察する
- 必要ならプロセスを足す
- 効果に注目する
- 効率は気にしない
資料に従って1つずつ確認していくことにする。
流れが価値を生んでいるかを確かめる
流れはコンベアや鉄道作ったラインそのものだと思うが、価値はどうだろうか?
そもそも価値って何だっけ?
われわれが生活していくうえでの必要や欲望を満たし、われわれに満足を与えるものは、いずれも価値あるものとされる 価値とは - コトバンク
ということで、Satisfactoryにおける必要や欲望を満たし、私に満足を与えるものということで考えてみる。ここまではTier7, 8の解除が欲望だった。これからは何が欲望になるだろうか?
- 欲望1「Tier7, 8のマイルストーンを解除してやれることを増やしたい」
- 順当な目標。Tier8では核を使った発電もできるようになるらしい。スゴイ
- 欲望2「天空に鉄道網を作りたい」
- Tier7、Tier8の達成に必ずしも必要というわけではないんだけどやってみたい。ロマンである
価値を決めたので次のステップに行くことにする。
スピードを落とす/止まる
Satisfactoryで遊ぶのを一旦やめて、この改善のことだけ考えることにしたのでやれてるハズ。
プロセスがどう動いているかを観察する
生産ライン、電力、移動/搬送の3つの観点で現状について考えてみる。
生産ライン
メインの生産ラインは「Tier7, 8を解放する」という目標を達成するために作られている。具体的には以下のアイテムを作るための生産ラインとなっている。
- 多目的フレームワーク
- 自律制御ユニット
- モジュラーエンジン
作成したアイテムは倉庫に入れているがすでに満杯状態(多いものだと数千個レベルで溜まっている)であり、多くの設備は停止している状態。
メインの生産ラインは最初に降り立ったエリアに作成している。生産ラインは作成時期によってまちまち。最初のころに作ったラインは平屋、練習を兼ねて複数階層になっているところもある。必要なアイテムの多くは現地で素材を加工して搬送しているが、近場に素材があるものはその場で加工をしているものもある。現地で加工したアイテムはコンベアを使ってエリアに送り込んでいるのだが、その時その時に必要なものをコンベアを建て増して運び込んだので整理がされているとは言いづらい。
新しいエリアの探索や、鉄道敷設のために必要なアイテムはラインに設置している設備から抜き取ったり、倉庫から取り出したりしている。あちこちに散らばってるため必要なものを集めるために走り回る必要がある。また、目標達成に必要のないアイテムは現地で加工のみしておりメインのエリアに搬送していないため、アイテムが必要になるたびに現地に取りにいかないといけない。
電力
石炭発電機と、燃料式発電機を利用している。総発電量は4821MW。
全設備の電力使用量は4500MWだが、実際に使っているのは1800MW。(停止している設備があるから)
石炭発電に使っている石炭をアイテムの製造に使いたいのだが、電力が不足するのが怖くて発電を止められてない。
移動/搬送
主にハイパーチューブを使っている。が、新しいエリアは面倒なのでまだハイパーチューブを敷設していないため、徒歩がメインとなっている。アイテムの搬送は主にコンベア。新しいエリアで鉄道を使い始めたところ。
観察した結果
電力や移動/搬送にも課題はあるが、生産ラインに一番ストレスを感じているようだ。とりあえず観察はしたから次のステップに進んでみる。
必要ならプロセスを足す
特に必要を感じなかったのでスルー。
効果に注目する/効率は気にしない
効果とは。
ある働きかけによって現れる、望ましい結果。ききめ。しるし。 効果(こうか)の意味 - goo国語辞書
価値=欲望を実現するにあたり、必要なアイテムが作れているか=効果として考えてみる。効果を「必要なアイテムが作れているか」とした場合、現在の欲望は大きすぎる(ほぼ全てのアイテムを作る必要があるため)ため、細分化することにした。
- 欲望1「Tier7, 8のマイルストーンを解除してやれることを増やしたい」
- 欲望2「天空に鉄道網を作りたい」
- 鉄道網に必要な土台/鉄道/電線/コンベア/ハイパーチューブを敷設できるようにしたい
細分化した欲望を実現するにあたり必要なものが生産できていれば効果が出ているということにして、現状を分析してみよう。 観点は、先ほどの生産ライン、電力、移動/搬送の3つとする。
電力、移動/搬送
電力は足りているし、移動/搬送もそれほど困ってないのでスルー。
生産ライン
何がどれだけ必要なのか正確に把握していないので、そこを明らかにするところから始める。作りたい設備を洗い出し必要なアイテムをリストアップすればいいのだが、冒頭にも書いたように生産できるアイテムがめっちゃ多いため非常に面倒。自分でデータを整備するのはやりたくない…。Redditなど海外の情報も含めていくつか探した結果、以下の方法で整理することにした。
- 生産に必要なアイテムを割り出すためのデータとしてgreeny/SatisfactoryToolsを利用する
- お世話になっているSatisfactory Toolsのサイトで利用されているデータ
- データはUpdate5のもの(現在はUpdate6)なのでちょっと古いが、他はもっと古かったのでそこは我慢
- 形式はjsonで、GitHubでメンテナンスされているから、加工が楽
- Excelを使って建設物に必要なアイテムを列挙する表を作成、必要なアイテムを割り出す
作りたい設備から割り出したアイテムは全部で21種類。★マーク以外はなんらかの形で製造をしていることが分かった。
- ★AI Limiter
- ★Alclad Aluminum Sheet
- Cable
- Computer
- Concrete
- Copper Sheet
- Encased Industrial Beam
- Heavy Modular Frame
- Iron Plate
- Iron Rod
- Modular Frame
- Motor
- Plastic
- Portable Miner
- Quickwire
- Reinforced Iron Plate
- Rotor
- Rubber
- Steel Beam
- Steel Pipe
- Wire
足りないアイテムは工場を作れば良いが、以下の問題が残っている。アイテムの収集のために走り回るのをやめたい。
新しいエリアの探索や、鉄道敷設のために必要なアイテムはラインに設置している設備から抜き取ったり、倉庫から取り出したりしている。あちこちに散らばってるため必要なものを集めるために走り回る必要がある。また、目標達成に必要のないアイテムは現地で加工のみしておりメインのエリアに搬送していないため、アイテムが必要になるたびに現地に取りにいかないといけない。
価値を更新した。
- 欲望1「Tier7, 8のマイルストーンを解除してやれることを増やしたい」
- 欲望2「天空に鉄道網を作りたい」
- 鉄道網に必要な土台/鉄道/電線/コンベア/ハイパーチューブを敷設できるようにしたい
- 敷設に必要なアイテムを製造し、あとから取り出しやすくなるよう収納しておきたい
ようやく改善
ここまでのステップを踏むことで、目的とやることが決まった。
- 目的:原子力発電所に必要なアイテムが作れる、鉄道網に必要な土台/鉄道/電線/コンベア/ハイパーチューブが敷設できる
- やること:目的を達成するために必要なアイテムを生産するラインの準備と、取り出しやすい収納方法の検討
生産ライン、収納方法については、Youtubeで見つけた以下の方法を真似することにした。
生産ライン
循環するコンベアに必要なアイテムを流し、中に作った設備に引き込む方法。アイテムの種類が増えてもコンベアを増やす必要がなく、設備の増設もしやすい。
収納方法
1本のコンベアに収納したいアイテムを流し、アイテムを選別するSmart Splitterという装置を使って倉庫に流し込むという方法。アイテムが増えてもコンベアを増やす必要がなく、アイテムが増えてもコンベアを延長、倉庫を追加し、Smart Splitterで流し込めばよいだけなので拡張性にも優れている。
やることが決まってしまえば作業はこれまでやったことの積み重ね。完成までにそれほど時間はかからなかった。
改善結果
結果、今後必要なアイテムが作りやすい生産ラインと、作ったアイテムを取り出しやすい収納ができあがった。効率でいうとまだまだだが、改善結果としては大満足である。
まとめ
現在ハマっているSatisfactoryというゲームで原田 騎郎(Harada Kiro)氏の改善の3つの顔 | Attractor Incを参考に改善活動を行った。
今回の「漏れを止める」の活動期間は20日程度。結構長い。最初はゲーム止めて大丈夫かなぁ(モチベが下がって再開しなくなるかも)と不安もあったが、結果からみると「さらにハマる」ための準備作業になったようなので何よりである。とはいえ、必要なアイテムを洗い出す作業はなかなか上手く行かず、投げ出しそうになった。Excel + Power Queryを使って上手く洗い出しができたからいいものの、そうでなかったらどうなっていたことやら…。(Power Queryは仕事で使っていたので作業自体は特に苦労することもなかった。どこで何が役に立つか分からないものだなぁ…)
改善前は沢山のやれることに気が散ってしまい迷走気味だったので、この活動で「シンプルではっきりしたやること」(必要なアイテムを生産するラインの準備と、取り出しやすい収納方法の検討)を見つけられたのがとても良かった。今後ゲームで迷走しそうになったら立ち止まって考えてみる…かもしれない。
最後に。Satisfactoryはやればやるほど味がでるスルメのようなゲーム。改善活動の練習にもぴったりだということも今回の記事でお判りいただけたと思う。興味が出たという方はぜひ遊んでみてほしい。
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